景気の「現実と報道」
景気の減速感が一層鮮明になってきています。
しかし、主にマスコミの報道から情報を得ている人たちは逆に、何となく景気は回復してきているのかなぁというイメージを持っているかも知れません。
ここにきて、世界的に経済指標が鮮明に景気減速を示し始めています。
売上の減少・生産の縮小・不動産の下落等々、減速が加速し始めています。
しかし、そうした主要指数が悪化しても、株式市場はその現実を見ようとはしません。なぜなのでしょうか?それは、市場に「お金が溢れている」からなんですね。
投資家たちは、市場からお金を引き上げた所で、他に持っていくところがないのでビクビクしながら最後のババを引かないように今日も株を買い続けているんですね。
だから、量的緩和で行き場を失った資金が、株式・債券市場でたむろしている訳です。
指標はある程度素直にその現実を景気減速として示し始めてきているのですが、市場関係者はそういう資金需給の都合上、それを直視しようとはしていません。あるいは直視しながらも、流れがそうである以上、気を付けながらその流れに乗っている訳です。
そして、それを大衆に伝えるマスコミは、政府の意向を汲んでの事でしょうが、何とか数少ない良い面・良い解釈を広めようとして、半ば強引な景気回復報道をしています。
こうした「実体経済の悪化」と「市場・マスコミの回復報道」の乖離は、拡大傾向を続けておりいずれどこかで間違っている方が正しい方へと引き戻されることになります。
つまり、「市場や報道」が「実体の悪化を反映する」ようになってくると思います。
それがいつ起こるのか、どのような形で起こるのかはわかりませんが、「旧システムの崩壊」の方も水面下では確実に進行していると捉えてよいのではないかと思っています。